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2017年1月1日 星期日

【日文版】TEDxTaipei 破解火場逃生的三個迷思 | 翻譯:近藤博子、林瓊華 / 講者:蔡宗翰

翻譯:近藤博子、林瓊華
講者:蔡宗翰





こんにちは。高雄の消防職員 蔡宗翰です。

10ヶ月前、桃園のボーリング場で火災が起きました。救助の最中、消防士6名が現場に閉じ込められ、命を落としました。動かぬ同僚の姿に、誰もが言葉を失いました。



火災の経験のある方は?少ないですね。三つ仮定しましょう。火災の際あなたはどうしますか?
一つ目、浴室へ逃げる方は? 
二つ目、下の階に逃げられない場合に、上の階に逃げる方は?

三つ目、濃煙の中、濡れタオルで口と鼻を覆って逃げる方は?
1回でも手を挙げた方は、間違いなく亡くなっています。



この三つ全てが命に係わる間違いだからです!

火災への誤解や迷信が、死傷に繋がる『最大の要因』です。火災に遭った時、一番の敵は自分自身の無知なのです。



早速この三つの迷信を打破していきましょう。

火災での一番の死亡原因は濃煙です。大半が焼死でなく、濃煙を吸い意識を失い死亡します。『例外』がありますが、後程お話し致します。



浴室へ逃げてはいけない『理由』は、ドアが熱で溶け、濃煙が流れ込むからです。その瞬間、あなたは窒息するでしょう!



上の階に逃げてはいけない『理由』は、あなたが逃げるより早く、煙が上の階に充満するからです!



濡れタオルを使って濃煙の中を逃げてはいけない『理由』は、タオルでは煙と高熱に耐えられませんし、逃げた先が安全だという保証もないからです。



『火が小さいうちは逃げ、濃煙にはドアを閉める』。これこそが正しい原則です!



火災に気が付いたら『必死で逃げる』べきですが、燃え広がる速度は想像以上に速いものです。

ドアを開けた時、部屋の外に濃煙と高熱を感じたら絶対に出ないこと!ただ『ドアを閉める』だけです。この行動で、濃煙を遮り救援を待つ時間が出来ます。

5年前の白雪ペンションの火事を覚えていますか?教訓となる事例です。

死者は7名。浴室で3名死亡。残り4名のうち3名は部屋から出て濃煙の中で、1名は窓から飛び降り死亡しました。しかし、4名の部屋は煙の侵入や燃えた形跡が全くなかったのです。ドアを閉め部屋の中で救助を待てば運命が変わったかもしれません。



『お風呂場や上の階へ逃げる』ことや『濡れタオルを口にあて逃げる』ことは、二度と考えないで下さい。

『火が小さいうちは逃げ、濃煙にはドアを閉める』を覚えて下さい。生死を分けます。

今までの話は、お聞きになられたことがあるかも知れませんが、我々がいくら頑張って伝えても、悲劇はなくなりません。



多くの人に正しい情報を知ってもらう為には『より多くの力が必要』です。自分の立場で出来ることは何かを考えました。

第一線で救助する消防士に『防火広報のプレゼン術』を教えることにしました。その中で我々消防士の敵は火災だけでなく、人々の間違った知識だと感じました。情報が溢れる時代、より有効な方法で正しい知識を伝える必要があります。



学校へも講義に行きます。この1年に、何十もの学校を訪れ数百もの学校関係者に会いました。私は校長先生方に「火災のルールを生徒達に伝えること。それを生徒達が家庭に持ち帰り家族に伝えること」をお願いしています。



私一人の力は微弱ですが、力が集まれば多くの人に正しい知識を伝える事が出来ます。消防士仲間や先生の賛同の声や協力が、私の活動を続ける励みです。

では、先ほど「後でお話しする」とした件。大半の犠牲者は濃煙により死亡しました。では『例外』はどんな場合でしょう?



殉職した消防士です!彼らだけは燃え盛る中へ必死で突入して行くのです。



桃園では、市民の救出後20代前半の消防士が大爆発に遭いました。800度の高熱の中、彼らは生きながらに焼かれたのです。



その夜、帰宅するとニュースの声が聞こえます。泣きはらした眼の妻が言いました。「救助に出ないことには、出来ない?」

私は答えられませんでした。妻もそれきり何も言いませんでした。



眠る前、1歳半の息子に絵本を読むと、殉職した消防士のことが浮かびました。彼には息子と歳の近い子供がいました。二度とその子が父に抱かれることはないのです。



『迷信で命を落とすな!』『火が小さいうちは逃げ、濃煙にはドアを閉める』のルールを覚え、周りの人々にも伝えて下さい。

このルールはあなたの命だけでなく、間違った知識のせいで危機に瀕した人を救うために消防士が犠牲となることからも救います。全ての消防士に家庭があります。救助出来た次の瞬間に大切な家族と二度と会えなくなるかもしれません。



消防士は皆英雄であると同時に平凡でもあります。私達は安全に戻れることを祈い救助へ向かいます。家族や子供達、同僚と日々過ごし、安らかな気持ちで一日を終えたいのです。

ありがとうございました。

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